館林キリスト教会

トピック集

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子どもイエス

キリストの少年時代 「こどもイエス・キリスト物語」

キリストの少年時代

ルカ福音書、2章52
「イエスはますます知恵が加わり、背たけも伸び、そして神と人から愛された」。

1.イエス様はナザレの村でだんだん大きくなりました。本当のお父さまは天の神様ですが、地上でのお父さまはヨセフでした。ヨセフは大工さんでしたから、いつもかんなくずだらけになって仕事をしていました。
イエス様はお母さんのマリヤから、毎日いろいろお話をしてもらいました。
そのお話は、旧約聖書の、アブラハムやヨセフ、モーセやヨシュアのお話でした。またユダヤ人の子供はものが言えるようになるとすぐ、申命記6章4、5節の大切なみことばを覚えなければなりません。それを「シェマ」といいます。イエス様もきっと、早く上手に覚えたでしょう。

2.ユダヤでは、どこの町にも「シナゴーゲ」という一種の教会がありました。子供は6才ころから、みんなそこで勉強しました。
先生はそこの牧師さんで、教科書は聖書でした。そして、神様のことはもちろん、字を読み書きすることも、歴史も地理も、みんなそこで勉強したのです。
イエス様は、決して「シナゴーゲ」を休みませんでした。
イエス様が十二才になると、お父さんからも、シナゴーゲの先生からも「これからは自分で神様のみ言葉を守る責任を持つのですよ」と言い渡されました。ユダヤでは、これから「律法(おきて)の子」と呼ぶ習慣です。つまり一種の成人式ですね。

3.イエス様もそろそろ「私は大人になったら、どんな生活と仕事をして一生を送ろうか」と考えたでしょう。お祈りもしましたし、お父さんや、お母さんとも話し合いました。またお母さんに、イエス様が生まれたときの不思議なできごとの数々を何回も話してもらいました。そしてそのことから、ご自分は「神の子である。そして世界の人々の救いのために神様から遣わされてきたのだ」ということをよく知っていらっしゃいました。
ただ神様から授けられたその大切なお仕事、お役目を、実際にどういうふうにやりとげたらいいのか? それはすぐにはわからなかったでしょう。

4.十二才になるともう一つ嬉しいことがありました。それは今年の「過ぎ越しの祭り」が来ると、はじめてお父さんやお母さん、近所の人達やお友達と一緒にエルサレムの神殿に連れて行ってもらえるのです。そして「律法の子」として、礼拝に参加できるのです。
その日が来ると朝早く起きて(もっとも前の晩はほとんど眠れませんでしたが)お弁当などを用意して、みんなで出かけました。
子供たちは子供たち同士のグループで歩きました。さんびかも歌いました。おとなはおとな同士で、話しながら歩きました。
道中で見る山にも野にも、町の名や井戸の名にも、旧約の物語の記念がしみこんでいます。夜になるとたき火を囲んで、先生達は子供達からもう一度、旧約聖書のお話をせがまれるのでした。

5.さてエルサレムの神殿についてみると、空に届くような高い屋根がいく層にもそびえ、大理石と金でピカピカでした。広い庭や長い廊下はどこまでも続いているようでした。ただもうびっくりでした。
金で飾った白い着物を着た、長いひげの祭司たちによって、厳粛で立派な儀式も行われました。
しかし、イエス様が一番興味を持ったのは神殿のわきの一つの部屋でした。そこでは先生が聖書を読んでお話をしていました。誰かが質問する。別の人も何か言います。議論になることがある。やがて答も出ます。
みんなとてもまじめに熱心に聖書を勉強しているのです。
イエス様もついすわりこんで、一生懸命お話を聞きました。誰かがイエス様に「よく熱心に聞いているね。きみはこのことをどう思うかね」と話しかけました。イエス様はご自分の考えを言いました。みんなびっくりしたようでした。
こんどはイエス様が質問しました。またみんな驚きました。とうとうイエス様は真ん中に呼び込まれました。
なにしろイエス様はふだんよく勉強していたし、また「先生にきいてみたい」と思うことがいつも頭にいっぱいあったのですから。イエス様はとうとう夢中になってしまって、みんなのくれたパンを食べ、夜はみんなと一緒に泊まって、とうとう次の日も一日勉強していました。

6.次の日、お父さんも、お母さんもそんなことは知らないで、ほかの大勢と一緒に出発してしまいました。きっとイエス様も、子供仲間と一緒に歩いていると思ったのでしょう。
夜になるとイエス様がいないのに気がつきました。そして翌日イエス様を探しながら逆戻りをして、とうとうエルサレムの神殿まで来てイエス様を見つけました。
この二日間学者たちは、イエス様がよく聖書を勉強していることと賢いこととに驚いていました。
「あなたはなぜこんなことをしたのですか?わたしたちは心配して、一生懸命探したのですよ」と言うお父さんとお母さんに対して、イエス様は答えました。
「わたしは天のお父さまの家にいたのです。なぜなら、わたしは一生天のお父さまのお仕事をするのですから」と答えました。
それからお父さんとお母さんと一緒に、またナザレの町に帰りましたが、イエス様は成長してだんだん大きくなりました。